●大腸カメラ検査前の下剤飲み方〜9のコツ

大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を受ける前には、腸内をきれいに洗浄するため、下剤(腸管洗浄剤)の摂取が必要です。この下剤内服のことを“前処置”と呼び、検査の精度にかかわるとても重要なステップなのです。

前処置が不十分だと、腸内に便が残ってしまい、小さなポリープや早期の病変の見逃しにつながる可能性や、検査自体がつらくなってしまう可能性があります。

しかし実際に検査を受けた方からは「検査より下剤が大変だった」、「下剤の量が多くて飲みきれない」、「味が苦手」といった声が聞かれます。

今回は当院でお勧めしている、大腸カメラ検査前の腸管洗浄剤を楽に飲むコツを紹介します。
大腸カメラの際はぜひ、これらのコツを参考にしていただければと思います。

・飲み方の基本
下剤(腸管洗浄剤)にはいくつかの種類があり、当院では主に「モビプレップ」を処方しています。
「モビプレップ」は最も広く使用されている下剤の一つです。水に溶かして飲む粉末タイプで、やや酸味のある梅風味がついています。

特徴としては、従来の下剤より飲む量が少なく済む点が挙げられます。具体的には、2Lに溶解したモビプレップをコップに1杯ずつ移し、便が透明になるまで服用します。服用中に水やお茶を飲んでも構いません。モビプレップを180mlずつ、10-15分かけてゆっくり飲み、その後水やお茶を1杯内服します。このプロセスを繰り返し、便がきれいになったら終了です。便がほぼ透明になれば、残りを飲む必要はありません。

味はさっぱりとしていて比較的飲みやすいと感じる方が多いですが、個人差があります。

その他にも、ビジクリアという錠剤タイプの下剤も準備してあります。

患者様の飲みやすさや普段の排便状況なども踏まえ、適切な下剤の処方、調整を致します。

大腸カメラ検査前の下剤を飲みやすくする9のコツ
大腸カメラ前の下剤内服(前処置)には多くの方が苦手意識を持っています。
今回は下剤をより飲みやすくするための9のコツをご紹介します。

① 検査前の食事を工夫する
検査前数日の食事は、消化の良いものを選びましょう。
特にこんにゃくやキノコ類、海藻類、果物などは消化が悪く、腸内をきれいにする妨げになるため避けましょう。
具体的にはうどんや白米、卵、肉、魚などがおすすめです。

食事制限を適切に行うことで、はやく腸内がきれいになり、下剤の飲む量を減らせる可能性があります。
希望がある方は検査食もお渡ししています。

②冷やして飲む
下剤は軽く冷やすと、匂いや味のクセが軽減されて飲みやすくなります。
冷蔵庫で冷やすや、冷たい水で溶解するといいでしょう。

③ストローを使って飲む
直接舌に触れる量が減ることで、下剤の味を感じにくくなります。
ストローの先端を深めに咥えるとより効果的です。

④レモンや塩を活用する
下剤を飲む前に、レモン汁を少し舐めたり、塩を少量舌に乗せたりすると、味覚が一時的に変化し、下剤の味を感じにくくなります。飴玉やガムなどでも構いません。
「味変」しつつ頑張りましょう。

⑤飲みながら水やお茶で口をすすぐ
口の中がリフレッシュし、口の中に残る下剤の味が軽減されます。

⑥リラックスしながら
緊張した環境では腸の動きも悪くなり、吐き気やお腹が張ったりしてしまいます。
好きな音楽や香り、テレビなどで気を紛らわしながら下剤服用を進めましょう。

⑦適度に動きながら
腸を活発に動くので、適度に体を動かしながら飲みましょう。
軽い歩行程度がよいでしょう。

⑧下剤の種類を相談する
どうしても液体の下剤が飲みにくい方は事前に相談してください。
当院では錠剤タイプもご用意があります。

⑨普段から便秘の方は数日前から飲める下剤を別途処方します
腸の中に固い便(硬便)が残っている状態で下剤を服用すると、腸管洗浄に時間がかかるだけではなく、強い腹痛や、最悪の場合、糞便性の腸閉塞を来す場合もあります。
当院では前日にピコスルファートナトリウムという下剤を服用していただき、排便が出やすい状態で当日の腸管洗浄剤(前処置)を始めていただくようにしています。
しかし、慢性便秘症の方はそれ以外にも5日-7日前からモビコールという下剤を服用していただき、より排便習慣を改善してからの検査を行っております。
このひと手間でより早く、スムーズに前処置が終了するようになり、腸管洗浄剤の飲む量が少なくできる可能性があります。

下剤服用後の注意点
腸管洗浄剤を飲み始めると、通常1〜2時間程度で効果が出始めます。普通の便から徐々に水様便に変わっていき、最終的にほぼ透明な液体のような便になれば検査可能です。

腸管洗浄剤の服用中に吐き気が起きた場合は、いったん服用を中断してください。
吐き気が持続し、お腹が張るといった症状があればそれ以上服用せず、医療機関に連絡、受診してください。
自然に回復し、排便があれば服用を再開してください。

腹痛が起きた場合、軽い腹痛であれば心配ありませんが、強い痛みの場合は服用を一時中断してください。痛みが続く場合や血便を伴う場合は、医療機関に連絡、受診してください。

こういったトラブルは普段から便秘の方に多いですが、中には大腸がんなどで通過障害を来している場合あります。