蕁麻疹はからだの「SOS」かも! 診断された1年以内にがんのリスクが急上昇
突然現れる皮膚の不快な「蕁麻疹」、多くの人が一度は経験したことがあると思います。
多くはアレルギーに伴って出現しますが、内臓の病気にもしばしば伴うことが知られています。
今回は2024年にデンマークで報告された蕁麻疹とがん(悪性腫瘍)とのデータ(British Journal of Dermatology誌)を紹介します。
これはデンマークで1980年から2022年までの約40年間で蕁麻疹と診断された8万7千人の患者様を平均で10年間追跡した疫学データで、蕁麻疹と診断された後、特に1年以内にがんのリスクが急上昇する可能性があるという、意外な結果が報告されています。
がんの発生率自体はデンマークの一般人口に比べて1.09倍(9%増加)とわずかでしたが、問題はその診断時期でした。
蕁麻疹の診断後「1年以内」にがんになるリスクは1.49倍(49%増加)と大幅に高くなっていました。
その中でも最もリスクが高かったものは「悪性リンパ腫」という血液のがんでした。(ホジキンリンパ腫で5.35倍、非ホジキンリンパ腫で2.91倍!)
悪性リンパ腫は首やわきの下、鼠径部のリンパ節の腫れなどで気が付かれることの多い病気で、初期症状としては全身倦怠感や微熱、寝汗などがあります。
リンパ節以外の発生部位では消化管が最も多く、日本国内の報告では胃が69%、腸が26%、胃・腸両方が44%と言われており、50-60歳代が好発年齢です。
つまりからだの表面に症状がなくても内臓で病気が進んでいる可能性があることになります。
今回の研究で潜在的ながんの存在が蕁麻疹を引き起こしている可能性が示唆されており、からだからの「SOS」の可能性があります。特に1年以内はがんの存在を念頭に置き、より慎重な経過観察や追加検査が必要です。
蕁麻疹でお悩みの方で、首などのしこり(リンパ節)が気になる方や内視鏡の検査が不定期になっている方は気軽に内科に相談ください。

